- フリーランス薬剤師って、実際いくら稼げる?手取りはどのくらい残る?
- 派遣と業務委託、何が違う?「来月から来なくていい」と言われたらどうなる?
- 正社員のまま始めたいけど、最初の一歩は派遣と業務委託のどっちがいい?
「フリーランス薬剤師で月75〜90万円」
そんな数字を見ると、気になりますよね。
でも、ネットの情報は「稼げる」か「やめとけ」の両極端ばかり。手取りがいくら残るのか、仕事が切れたらどうなるのか、リアルな話はほとんど出てきません。
そこで今回は、業務委託のフリーランス薬剤師として丸2年(副業期を含めると3年)活動している40代のFさんに、収入の中身から一番しんどかった出来事まで、すべて聞かせてもらいました。
クリニック・ドラッグストア・調剤薬局・医療系ベンチャーと複数の業態を経験し、マネージャーや本部職も務めた方です。派遣薬剤師の経験もあります。
結論を先に言うと、Fさん自身の答えは「まず正社員のまま週1回でも派遣をして、苦にならなければフリーランスに挑戦」でした。
- 時給3,500〜4,500円、常時2〜4社と契約して月収75〜90万円
- 年間ざっくり売上1,000万・経費250万・税金等150万で手取りは600万円前後
- 正社員時代(高めの年収)と比べると「横ばい」。有給なし・盆暮れ正月は収入が凹む
- 一番しんどかったのは直接契約先から月半ばに「来月から来なくていい」
- 仲介を使っていたので翌々月からレギュラー復帰。でも1ヶ月は穴が空いた
- 本人の結論は「直接契約・仲介・派遣をバランス良く併用が最低ライン」
- 満足度は10点中7点。まず正社員×週1派遣で試してからがおすすめ
フリーランスを考えている人も、まずは派遣で「他の薬局で働く」感覚をつかむのが安全です。派遣なら仕事が切れても派遣会社が次を探してくれます。
フリーランス薬剤師Fさんの基本情報

| 年代・性別 | 40代・男性 |
| 経歴 | クリニック薬剤師→大手ドラッグストア→調剤薬局チェーン→副業でフリーランス開始→医療系ベンチャーと兼業→フリーランス専業 |
| 業務委託の経験 | 個人事業主として丸2年(副業期を含めると3年) |
| 使った仲介サービス | きょうりょく薬剤師/SUPPOND/newjob薬剤師/スキマ薬剤師+直接契約 |
| 派遣薬剤師の経験 | あり(独立当初は単発派遣でつないでいた) |
| 現在の契約 | 3社と契約・週6日勤務(常時2〜4社を維持) |
| 時給 | 3,500〜4,500円 |
| 月収 | 75〜90万円(盆暮れ正月は凹む) |
| 社会保険 | 薬剤師国保+国民年金 |
| 満足度 | 10点中7点 |

まず注目してほしいのは「3社と契約して週6」というところ。1社に依存せず、常に複数の契約を回しているのがフリーランスを続けられている理由だね。この「複数で回す」考え方が、あとで出てくる派遣併用の話につながるよ。
なぜ派遣ではなく業務委託(フリーランス)を選んだのか?
Q. フリーランス薬剤師を始めたきっかけは?
元々は副業として始めました。
当時は大手ドラッグストアを退社して、調剤薬局チェーンに転職してしばらく経ったころです。
キャリアプランとして「薬剤師資格を必要としない企業に勤めつつ、副業でフリーランス薬剤師として調剤に携わる」ことを目標にしていました。
Q. 派遣ではなく業務委託にした理由は?
理由は以下です。
- 派遣より高収入で働きたかった
- 労働基準法に縛られず、自分の裁量で働きたかった
- 会社員と個人事業主を兼業すると税制上のメリットがあると考えた
Q. 始める前に一番不安だったことは?
3つありました。
- 税制上のメリットが得られる確定申告を、自分でちゃんとできるのか
- 案件が本当に獲得できるのか
- 他社の薬局で問題なく勤務できるのか

「派遣より高収入・自分の裁量で」が理由なのは、派遣を経験した人ならよく分かるはず。ただ、不安の3つはそのまま「フリーランスの3大ハードル」でもある。税金・案件獲得・現場対応、この記事ではこの3つがどうなったかを順に見ていくよ。
仕事の取り方|仲介サービス4社の使い分けと直接営業
Q. 仕事はどう見つけていますか?
仲介サービスと直接営業が半々くらいです。
Q. きょうりょく薬剤師・SUPPOND・newjob薬剤師・スキマ薬剤師を使った感想は?
初心者にはきょうりょく薬剤師とスキマ薬剤師がおすすめです。
- リーガルチェックされた契約書が用意されている
- 委託料の支払いに間に入ってくれるので未払いがない
- 面談がある場合は帯同もしてくれる
- ほぼ転職エージェント並みに動いてくれる
逆にSUPPONDは紹介のみで、その後は薬局と自分の2者間のやり取りになります。紹介後のサポートは基本ありません。
newjob薬剤師はその中間くらいの立ち位置です。ただ、レスポンスがかなり遅いので慣れるまでは不安が多いですね。慣れれば楽です。
Q. 直接営業はどうやって契約につなげましたか?
元々営業職をしていたので、その伝手と大学の同級生などに声をかけています。
特に苦労はないですね。一度実績を作ると、紹介もしてもらえるようになります。
Q. 契約書や報酬の交渉で困ったことは?
相場が分からないので、時給をどう設定するか迷いました。
今考えれば、もう少し高く設定しても良かったと思う場面も多々あります。

「営業職の伝手と大学の同級生」というのがポイント。直接営業で苦労していないのは、Fさんにもともと人脈と営業経験があったから。これがない人がいきなり直接契約を狙うのはハードルが高い。まず仲介、もっと言えばまず派遣で「他の薬局で働く実績」を作るのが現実的だよ。
フリーランス薬剤師の収入と手取り|月75〜90万円でも手取りは600万
Q. 時給・月収の目安は?
時給は3,500〜4,500円です。
常に2〜4社と契約を維持しているので、通常は週6勤務。繁忙期は週7で入ることもあります。
月収は75〜90万円くらい。ただ、いわゆる盆暮れ正月は凹みます。
Q. 経費・税金・社会保険料を引いた手取りは?
経費は節税や家事按分(家賃・光熱費など生活費の一部を経費にできる)にもなるので、正確には分かりませんが……
- 売上(額面):約1,000万円
- 経費:約250万円
- 税金・社会保険料など:本人申告では約150万円
- 最終的な手取り:600万円くらい(本人申告ベース)
Q. 正社員時代と比べて年収は変わりましたか?
勤め人のときもそこそこもらっていたので、現状は横ばいです。
もう少し稼がないと、とんとんにはなりません。
Q. 勤務時間は変わりましたか?
ここが自由になるのがフリーランスです。
ただ、押し並べて見ると正社員時代と勤務時間数は変わりません。
頑張れば休みなしで働けるのが良いところだと思います。労働基準法が当てはまらないので。

額面1,000万円に目が行くけど、手元に残るのは600万円前後。しかも有給なし・退職金なし・盆暮れ正月は収入ゼロ。正社員で年収650〜700万円もらっている人なら「横ばい」というFさんの言葉はそのまま当てはまる。収入だけを目的にフリーランスを選ぶと、たぶん期待外れになるよ。
一番しんどかった出来事|「正社員が決まったので来月から来なくていい」
Q. 一番しんどかった出来事は?
直接契約していた薬局から、月半ばに「正社員が決まったので、来月から来なくて良いです」と言われたことです。
Q. 収入にはどのくらい影響しましたか?次の契約先は?
仲介を利用していたので、翌々月からはレギュラーで入れました。
つまり、1ヶ月分は穴が空いたということです。
Q. その経験から、働き方で意識していることは?
直接契約・仲介・パート・派遣などをバランス良く併用するのが最低ラインだと考えています。
直接契約は切られたら自分で埋めるしかありません。仲介や派遣があれば、次を一緒に探してくれる人がいます。
Q. 収入の波はどう乗り切っていますか?
時給制で有給がないので、長期休みの盆暮れ正月で収入が凹みます。
この期間を乗り切るために、他の月で稼ぐ必要があります。閑散期のカレンダーをどう埋めるかは、毎年苦慮しています。

ここが派遣との一番大きな差。派遣なら契約終了は事前通知があって、派遣会社が次を探してくれる。直接契約は「来月から不要」で終わり。だからFさんも「派遣も含めて併用が最低ライン」と言っている。フリーランスを目指す人も、派遣会社に1社は登録しておくのが保険になるよ。
Fさんのように「仕事が切れたときの受け皿」として、派遣会社には先に登録しておくのがおすすめです。閑散期や盆暮れ正月の穴埋めにも使えます。
現場での扱われ方・働き方のリアル
Q. 現場での扱いは?社員や派遣との違いは?
良くも悪くも、ほぼ派遣と同じ扱いです。
契約先が外部の受け入れに慣れているかどうかで、働きやすさが決まります。
長期契約になれば、当然人間関係も出てきます。一般的な薬局内でのコミュニケーションは必要です。
Q. 裁量や責任の重さは?
翌月いるかも分からない人員なので、薬局内での重い責任や裁量はありません。
Q. 「実質は雇用と同じ」と感じたことは?
シフト固定はこちらとしてもありがたいので、長期契約の場合はこちらから指定することもあります。雇用とは感じません。
社員のように周りに気を使う必要がほとんどないので、残業や連休は取りやすいです。
本音を言えば、業務中はほぼ雇用されているような状況です。でも責任の所在は明確で、休みの日に連絡が来ることもほぼないので、適度な距離感だと思っています。
Q. 1週間の働き方は?
独立当初は単発契約と単発派遣でつないでいました。
長期契約が安定して取れるようになると、週5〜7日は勤務できます。
地方で2〜3ヶ月単位の中期勤務をした経験もあります。
Q. 想像していた働き方とのギャップは?
派遣を経験していれば、特に大きなギャップは感じないと思います。
ただ、自分でやらなければいけないバックオフィス業務(契約管理、経費精算、請求・入金確認、確定申告など)がプラスαになるので、ここは負担に感じます。

「派遣を経験していればギャップはない」「扱いはほぼ派遣と同じ」——Fさんが2回も派遣を引き合いに出しているのが答えだと思う。現場の働き方は派遣とフリーランスで大差なし。違うのは手続きの負担と仕事が切れたときのリスク。だから「まず派遣で現場を試す」が合理的なんだよね。
手続き・保険・税金|フリーランス薬剤師の一番の負担
Q. 社会保険・年金はどうしていますか?
個人事業主なので、社会保険は任意継続の満期後に薬剤師国保に切り替えました。
年金は国民年金です。子どもは妻の扶養に入れています。
Q. 確定申告・税金で困ったことは?
昨年そこそこ所得が出てしまい、納税がきつかったです。本当にきついです。
特に所得税の前納(予定納税)がきつい。現在、節税の勉強中です。
これからフリーランスになる人は、税金の知識をつけましょう!
Q. 薬剤師賠償責任保険はどうしていますか?
薬剤師賠償責任保険は必須で入らなければいけません。
ただ、フリーランス対応の賠償保険は少なく、通常の申し込みではフリーランスとして加入できないことが多いです。
大手損保のフリーランス対応プランに加入していますが、始める前に必ず自分で調べてから加入してください。

派遣なら社会保険は派遣会社が手続きして、賠償責任保険も派遣会社の保険に入れる。フリーランスはこれが全部自分。「予定納税がきつい」は本当によく聞く話で、所得が出た翌年に前払いで税金を取られるから、1年目に貯金を残しておかないと詰むよ。
フリーランスで救われたこと・良くなったこと
Q. 「この働き方で救われた」と感じた瞬間は?
子どもや家族のための休みが取りやすくなったことです。
関東圏内で薬剤師として高収入を目指すと、管理職を求められます。責任と休みを削る経験を何度もしてきました。
ここが解消されたので、救われています。
Q. 金銭面・時間・精神面で一番メリットを感じたのは?
精神面です。
必要な時に必要なだけ休める。プライベートの時間を確保でき、自分の裁量も高い。
無駄に妻とぶつかることもなくなり、収入をある程度確保しつつ家庭を分担しやすくなったので、気持ちは楽になりました。
Q. キャリアへの影響は?
社会人として長く働いてきましたが、今が一番「薬剤師をしている」と感じます。
色々な薬局で働くことで視野が広がりました。
また、色々な薬局経営者や経営層と知り合うことができ、薬局における「経営者目線」を深く理解できたと感じています。
Q. 今振り返って、もっとこうすればよかったと思うことは?
薬の勉強をもっとしておけば良かった。

一番のメリットが「お金」じゃなくて「精神面」なのが印象的。管理職の責任から解放されて、家族のために休める。これは派遣でも同じメリットが得られる部分だから、「管理職がしんどい」が理由なら、フリーランスより先に派遣を試す価値があるよ。
フリーランスが向いている人・派遣のほうがいい人
Q. 実際にやってみて「向いている」と感じた人の特徴は?
薬局内での業務はいわゆる薬剤師業務なので、派遣もフリーランスも大差はありません。
ただ、本業にするなら自分で1ヶ月のカレンダーを埋めるスケジュール管理と営業力が必要です。
Q. 逆に「派遣のほうがいい」人は?
経費精算も手間なので、不慣れなら派遣がいいかもしれません。
Q. これからフリーランスになる人に、「まず派遣から」と言いますか?
まずは正社員をしながら、週1回でも派遣をして色々な薬局を経験する。
この働き方が苦にならなければ、フリーランスにチャレンジしても良いと思います。
Q. 今後はフリーランス一本ですか?
理想は「会社員+フリーランス薬剤師」なので、今も良い条件の職場は探しています。
Fさんの体験をふまえると、向いている人・そうでない人はこう分かれます。
- 自分で1ヶ月のカレンダーを埋めるスケジュール管理ができる人
- 営業力があり、伝手や紹介で仕事を取れる人
- 確定申告・経費精算・請求管理を自分でやれる(やる気がある)人
- 派遣を経験済みで、他社の薬局で働くことに慣れている人
- 他社の薬局で働いた経験がまだない人
- 経費精算や確定申告が不慣れな人
- 仕事が切れたときに自分で次を探すのが不安な人
- 正社員を続けながら、週1回程度から試したい人

3年やっているFさん本人の答えが「まず正社員×週1派遣」。しかも今も「会社員+フリーランス」が理想と言っている。業務委託一本は、やっている人から見ても最終形ではないということ。ここは素直に受け取っていいと思う。
フリーランス薬剤師の満足度は?10点満点で何点?
Q. 満足度を10点満点でつけると?
7点です。
まだまだ、負担に対して収入が足りないと考えています。他業種と比べても。
Q. クリニック・DS・調剤薬局を経験して、転職で迷う薬剤師にアドバイスは?
最終的にどのような薬剤師を目指すのかがポイントだと思います。
もし自分自身で何も指針がないのなら、まずは病院薬剤師からスタートすることをおすすめします。
病院薬剤師の業務や姿勢は病院でしか学べないし、その後の選択肢も広がると考えます。

7点の理由が「負担に対して収入が足りない」。月75〜90万円稼いでいる人の言葉だよ。収入目的ならフリーランスは割に合わない、精神面や休みの自由が目的なら価値がある——これがこの記事の一番大事な結論だと思う。
派遣会社を比較した記事はこちら。フリーランスを考えている人も、まず1社は登録しておくと安心です。
単発に絞って派遣会社を比較した記事はこちら。
▶ 【薬剤師の単発派遣おすすめ】1日だけ働ける派遣会社を単発特化で比較
▶ 【2026年】薬剤師派遣会社おすすめランキング|15社比較で厳選TOP3
まとめ:フリーランス薬剤師の実態と「まず派遣から」の理由
業務委託のフリーランス薬剤師として3年活動しているFさんの声をもとに、収入・手取り・リスク・手続きの実態を整理しました。
- 時給3,500〜4,500円、2〜4社契約で月収75〜90万円。手取りは年600万円前後
- 正社員時代と年収は「横ばい」。有給なし・盆暮れ正月は収入が凹む
- 直接契約は「来月から不要」のリスクあり。仲介・派遣との併用が最低ライン
- 現場の扱いは「ほぼ派遣と同じ」。違いは手続きの負担と仕事が切れるリスク
- 確定申告・予定納税・賠償責任保険はすべて自分で。税金の知識は必須
- 一番のメリットは精神面。家族のために休める、管理職の責任から解放
- 満足度7点。本人の答えは「まず正社員×週1派遣で試してから」
フリーランスに興味がある人も、いきなり業務委託ではなく、まず派遣で「他の薬局で働く」経験を積むのが安全です。
派遣なら契約管理・保険・社会保険は派遣会社がやってくれて、仕事が切れたときも次を一緒に探してくれます。Fさんが言う「併用の受け皿」としても、先に登録しておく価値があります。
※本記事は実際に業務委託のフリーランス薬剤師として活動している薬剤師の体験談をもとに作成しています。収入・契約条件・仲介サービスの内容は時期や地域、個人の経験によって変わる可能性があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。


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